2017年6月6日

相模鉄道が新型車両『20000系』を2017年12月に導入へ

2017年6月5日、相模鉄道が今年度の鉄道事業計画において触れられていた新型車両の導入について、系列名を『20000系』とし、2017年12月に導入すると発表しました。
▲今度の新型車両の系列名は『20000系』。新型車両の導入は2008年に東日本旅客鉄道E233系をベースとした写真の11000系以来で約9年ぶりとなる。また『YOKOHAMA NAVYBLUE』塗装の新系列車両は20000系が初めてである。
▲新型車両『20000系』の導入は10両1編成のみだが、これで滞っていた7000系(1枚目:旧7000系7710F、2枚目:新7000系7715F)の置き換えが再開されるものと思われる。新旧が混在する7000系の動きに要注意だ。

同系列は自社路線の本線・いずみ野線運用だけでなく、2022年下期に開業予定の東京急行電鉄方面への直通路線向けとして使用するようで、『デザインブランドアッププロジェクト』の概要を反映した新型車両としてはこの系列が初めてのことです。前面部分はトンネル内における脱出に対応するための貫通扉を装備し、東京地下鉄05系4次車・5次車ワイドドア車のB修繕工事施工車両に類似した顔つきとなっており、連結器は故障時などに備えて相模鉄道の従来車両と同様の小型密着自動連結器に揃えられるものとみられます。外観塗装は9000系9703F・9705Fと同じく3代目塗装の『YOKOHAMA NAVYBLUE』とするほか、側面部には11000系と同じく車外スピーカーのほかに相模鉄道の通勤形車両では初めてとなる、夏場の空調効果や冬場の保温効果を高めるために海老名(SO-18)のような始発駅などで使用する半自動ドア機能として『個別ドアスイッチ』を全ての旅客用扉(車外では旅客用扉の左側、車内では旅客用扉の右側)に設置します。車外の種別行先案内表示器はフルカラーLED式とし、前面部は列車番号表示、種別表示、行先表示をそれぞれ別々にしたものとし、種別表示は貫通扉上部、行先表示は運転台上部に設けられます。前照灯は相模鉄道の新製車両で初めてとなるLED式とします。

車内内装は9000系9703F・9705Fと同じく床面を黒色、普通座席のモケットを灰色とします(ただし座り心地を改良)。優先席のモケットは9703F・9705Fでは青色としていましたが、20000系では赤色に変更し、新たに一部の優先席で立ち座りを容易とすることと座席下部に大型荷物を収納できるようにするために、座席部分の高さを上げ、座り心地を損ねない範囲で座面を小さくした『ユニバーサルデザインシート』を導入します。その座席には杖をついて歩く乗客などでも立ち座りができるように黄色のポールを座席部分に設けます。また座席の両端に着席した乗客に対し旅客用扉付近に立つ乗客の荷物などによる干渉を防ぐため、座席端部の仕切りを強化ガラスを採用し網棚部分まで届く形状とします。車内のつり革は9000系9703F・9705Fと同じく楕円形状のもの(一般座席は灰色、優先席は黄色)を採用します。車内には『Wi-Fi(ワイファイ)』のほか空気清浄器の『ナノイー』が自社車両で初めて設置されます。車内LCD旅客案内表示器は9000系9703F・9705Fと同じ1画面(ただし両編成では左側に準備工事がなされており、増設により2画面化が可能)ですが、20000系では旅客用扉の上部中央や通路の天井に21.5インチに拡大したものが設置されるほか、新たに広告画面が通路の天井に設置されるようです。つまり西武鉄道40000系と似た感じですね。また全車両の車端部に車椅子兼ベビーカースペースを設置します。また8000系・9000系の全編成で採用されている車内の鏡と側面窓のブラインドを復活させます(10000系・11000系では車内に鏡を設置せず、側面窓は両系列とも遮光ガラスを使用しているためブラインドを省略した)。

制御装置は相模鉄道の車両では初めてとなる三菱電機製のSiC素子VVVFインバータ装置を採用して騒音を低減するほか、急曲線などでの安全性を向上させた台車を新たに採用します。この系列の電動車と付随車の割合が気になりますが、10000系10両固定編成では5M5T、11000系では6M4Tであるために、20000系では5M5T(10000系と同じ)または6M4T(8000系・9000系と同じ)が有力と思われます。

製造は9000系以来となる日立製作所笠戸事業所が担当しており、1編成10両の導入となる見込みです。かしわ台車両センター配置となるために日立製作所笠戸事業所から相模貨物ターミナルまで電気機関車によって甲種輸送され、そのあと東日本旅客鉄道相模線を経由して厚木操車場までの輸送が有力と思われます。ただし今後は20000系の増備が予想され、7000系の置き換えが行われるものと思われます。このため新旧7000系の動きに気をつけたいところ。旧7000系は7707F・7710F・7712Fの8両3編成(24両)、新7000系は7713F・7715F・7751F・7753F・7754F・7755Fの8両1編成(7715Fのみ)と10両5編成(58両)の全車両(82両)がかしわ台車両センターに在籍しています。